こんにちは!
有限会社豊商事です!
~汚れた水を安全な水へ~
工場、食品加工施設、病院、商業施設、宿泊施設、畜産施設などでは、日々さまざまな排水が発生しています。
排水には、油分、洗剤、薬品、有機物、金属成分、微細な固形物などが含まれている場合があります。そのまま河川や下水へ流せば、水質悪化、悪臭、魚や水生生物への影響、下水設備の機能低下などにつながる可能性があります⚠️
そこで必要になるのが、排水処理業です。
排水処理業では、排水の性質に応じて、異物除去、油水分離、pH調整、凝集沈殿、生物処理、ろ過、消毒などを組み合わせ、排出基準や受け入れ条件に適合する水質へ整えます。
しかし、処理設備を設置するだけでは安定した処理はできません。
排水量、汚れの濃度、水温、薬品の使用状況などは、時間帯や製造内容によって変化します。その変化へ対応しながら設備を調整し、処理状態を維持する運転技術が必要です。
今回は、排水処理業における基本的な処理工程と設備運転技術についてご紹介します。
目次
排水処理では、最初にどのような汚れが含まれているのかを把握します。
見た目が透明な水でも、溶けた有機物や薬品が含まれていることがあります。反対に、色が濃く見えても、比較的除去しやすい固形物が中心の場合もあります
食品工場では、油脂、でんぷん、たんぱく質、調味料などが排水へ混ざることがあります。
金属加工工場では、切削油、金属粉、洗浄剤、表面処理薬品などが含まれる可能性があります。
畜産施設では、ふん尿由来の有機物や窒素成分が多くなる傾向があります。
宿泊施設や商業施設では、厨房、浴室、洗濯、トイレなど、複数の系統から排水が集まります。
このように、業種や工程によって排水の性質は大きく異なります。
排水処理業者は、流量、pH、有機物濃度、浮遊物質、油分、金属、窒素などを確認し、必要な処理方法を選びます
汚れの種類を正しく理解することが、安定した処理の出発点です。
排水処理設備の入口では、まず大きな異物を除去します。
食品くず、布、ビニール片、木片、髪の毛などがポンプや配管へ流れ込むと、詰まりや故障の原因になります。
そこで、格子状や網状のスクリーンを設置し、異物を捕捉します
スクリーンには、作業員が手作業で清掃するものと、自動で異物をかき上げるものがあります。
排水量が少ない施設では簡易的な設備が使用されることもありますが、大量の排水が流れる工場では、自動スクリーンが必要になる場合があります。
目が細かすぎると詰まりやすくなり、粗すぎると異物が後工程へ流れてしまいます。
排水に含まれる異物の大きさや量に合わせて、適切な目幅を選ぶことが重要です。
回収した異物は、悪臭や害虫の原因にならないよう、速やかに処分します。
スクリーンは単純な設備に見えますが、後工程を守る重要な役割を果たしています。
工場では、排水が一日中同じ量、同じ濃度で流れるとは限りません。
製造ラインの洗浄時間には、大量の排水が短時間に発生することがあります。特定の工程が動いている時間だけ、濃い排水が流れる場合もあります。
こうした変動をそのまま処理設備へ送ると、設備が能力を超え、処理水質が不安定になる可能性があります⚠️
そこで使用されるのが調整槽です。
調整槽へ排水を一度ため、かくはんしながら濃度や流量を平均化します。
その後、ポンプで一定量ずつ後工程へ送ります
調整槽では、固形物が底へ沈まないよう、攪拌機や散気装置を使用する場合があります。
また、排水が長時間滞留すると、腐敗して悪臭が発生することがあります。
必要に応じて空気を送り、嫌気状態になるのを防ぎます️
調整槽によって排水の変動をならすことで、薬品注入や生物処理を安定させやすくなります。
厨房、食品工場、機械工場などの排水には、油分が含まれることがあります。
油がそのまま後工程へ流れると、配管の詰まり、悪臭、生物処理への悪影響などにつながる可能性があります️
水より軽い油は、水面へ浮上させて除去できます。
油水分離槽では、排水の流れをゆっくりさせ、油滴が水面へ浮く時間を確保します。
浮上した油は、スクレーパーや吸引装置などで回収します。
ただし、細かく分散した乳化油は、単純に静置するだけでは浮きにくい場合があります。
洗剤や界面活性剤によって油が細かく分散している場合は、薬品処理や加圧浮上などを組み合わせることがあります
油水分離では、槽内の流れを乱しすぎないことも重要です。
流速が速すぎると、浮上しかけた油が再び水中へ巻き込まれてしまいます。
排水が強い酸性やアルカリ性のままでは、設備の腐食、生物処理への影響、放流先の環境負荷などにつながります。
そのため、酸やアルカリを注入し、pHを適正な範囲へ調整します
酸性排水にはアルカリ剤、アルカリ性排水には酸性薬品を使用します。
pH計で数値を測定しながら、薬品注入ポンプを調整します。
ただし、薬品を一度に大量投入すると、目標値を超えて反対側へ振れる可能性があります。
排水を十分にかくはんし、反応を確認しながら少しずつ調整します。
排水の緩衝性によっては、同じ量の薬品を入れてもpHの変化が異なります。
製造工程や排水濃度の変化を見ながら、注入量を細かく調整する必要があります。
pHセンサーの汚れや劣化によって、測定値がずれることもあります。
定期的な洗浄と校正を行い、正しい数値で制御することが重要です
排水中には、非常に小さな粒子が浮いていることがあります。
粒子が細かいと、長時間静置しても沈まず、水中に残ります。
こうした微粒子を薬品で集め、大きな塊にする方法が凝集処理です
まず、無機凝集剤などを加え、粒子が持つ電気的な反発を弱めます。
次に、高分子凝集剤などを加え、小さな粒子同士をつないでフロックと呼ばれる塊をつくります。
薬品を入れれば自動的に良いフロックができるわけではありません。
凝集剤の種類、注入量、pH、かくはん速度、反応時間などが影響します。
かくはんが弱すぎると薬品が均一に混ざらず、強すぎるとできたフロックが壊れてしまいます⚙️
排水の状態を見ながら薬品量を調整し、沈みやすく分離しやすいフロックを形成することが重要です。
凝集剤の種類や注入量を決める方法として、ジャーテストがあります。
複数の容器へ同じ排水を入れ、薬品の種類や量を変えてかくはんします
フロックの大きさ、沈降速度、処理後の水の透明度などを比較し、最も適した条件を探します。
排水の性質は日によって変化するため、以前と同じ薬品量で十分とは限りません。
原料や製造品目が変われば、汚れの成分も変化する可能性があります。
薬品使用量を増やせば必ず処理が良くなるわけではありません。
過剰に加えると、かえって粒子が安定したり、処理水へ薬品が残ったりする場合があります。
ジャーテストによって必要量を確認すれば、安定した処理と薬品費の削減を両立しやすくなります
凝集によって大きくなったフロックは、沈殿槽で水と分離します。
排水の流れをゆっくりさせ、重力によってフロックを底へ沈めます⬇️
上部の澄んだ水は、次の処理工程や放流へ送られます。
底へたまった汚泥は、ポンプやスクレーパーで回収します。
沈殿槽の流れが速すぎると、フロックが沈む前に出口へ流れてしまいます。
また、汚泥を長時間ためすぎると、腐敗や浮上が起こり、処理水を濁らせることがあります。
汚泥界面の高さを確認し、適切なタイミングで引き抜きます
流入口や越流部の状態も重要です。
水が一部へ偏って流れると、沈殿槽全体を有効に使えません。
水の流れを均一に整えることが、安定した固液分離につながります。
油分や軽い固形物は、沈殿しにくい場合があります。
そのような排水では、加圧浮上装置を使用することがあります。
水中へ微細な気泡を発生させ、フロックや油分へ付着させて水面へ浮かせます
浮上した汚泥は、スクレーパーでかき集めて回収します。
食品工場、油脂を含む排水、軽い汚泥が発生する工程などで活用されます。
気泡が大きすぎると、汚れへ付着しにくくなります。
圧力、循環水量、空気量などを調整し、細かな気泡を安定して発生させます。
凝集処理と組み合わせる場合は、フロックの大きさや強さも重要です。
壊れやすいフロックでは、装置内で分散してしまいます。
排水中に溶けている有機物は、沈殿やろ過だけでは十分に除去できない場合があります。
そこで、微生物の働きを利用する生物処理が行われます
微生物は、排水中の有機物を栄養として取り込み、水や二酸化炭素、菌体などへ変えます。
代表的な方法に、活性汚泥法があります。
曝気槽へ空気を送り、微生物が活動しやすい環境をつくります️
微生物を含む汚泥と排水を混ぜ、一定時間反応させます。
その後、沈殿槽で微生物の塊を沈め、上澄み水と分離します。
沈んだ汚泥の一部は曝気槽へ戻し、微生物の量を維持します。
生物処理は、薬品だけで汚れを除去する方法とは異なり、生きた微生物を管理する技術です。
排水の急激な変化や有害物質の流入によって、微生物の働きが弱くなることがあります。
好気性微生物が有機物を分解するためには、酸素が必要です。
ブロワや散気装置を使って、曝気槽へ空気を送ります️
酸素が不足すると、処理能力が低下したり、悪臭が発生したりする可能性があります。
反対に、必要以上に空気を送れば、電力消費が増えます⚡
溶存酸素計などを使って槽内の酸素状態を確認し、曝気量を調整します。
槽全体へ均一に空気が行き渡っているかも重要です。
散気管が詰まっていると、一部からしか気泡が出ず、死水域が生じる場合があります。
気泡の出方を目視し、必要に応じて散気装置を清掃・交換します。
水温が変化すると、酸素の溶けやすさや微生物の活動も変わります。
季節に応じた運転調整が必要です️
生物処理では、微生物の状態を日々確認します。
汚泥の色、におい、沈み方、泡の状態などから、処理状況を判断します
顕微鏡を使い、汚泥の中にいる微生物の種類や動きを観察することもあります
良好な状態では、微生物がまとまりのあるフロックをつくり、沈殿槽で沈みやすくなります。
一方、糸状性の微生物が過度に増えると、汚泥が沈みにくくなることがあります。
有機物負荷、酸素不足、栄養バランスなど、さまざまな原因が考えられます。
表面的な現象だけで判断せず、水質データ、曝気量、汚泥量などを合わせて原因を調べます。
より高い処理水質が必要な場合には、膜処理が使用されることがあります。
膜の細かな孔を利用し、水中の粒子や微生物などを分離します
精密ろ過膜、限外ろ過膜、逆浸透膜など、目的によってさまざまな種類があります。
生物処理と膜分離を組み合わせた設備では、沈殿槽を使わずに微生物と水を分離できる場合があります。
ただし、膜表面に汚れが付着すると、水が通りにくくなります。
これを防ぐため、空気や水で洗浄したり、定期的に薬品洗浄を行ったりします
膜差圧、透過水量、水質などを監視し、洗浄時期を判断します。
過度な圧力で運転すると、膜の劣化や破損につながる可能性があります。
排水中の色、におい、微量の有機物などを除去するため、活性炭が使用されることがあります。
活性炭には細かな孔が多く、さまざまな物質を表面へ吸着します
生物処理や凝集処理の後に設置し、仕上げ処理として使用する場合があります。
ただし、活性炭には吸着できる量に限りがあります。
長期間使用すると性能が低下し、処理水質が悪化します。
通水量、水質、使用期間などを確認し、交換や再生の時期を判断します。
前工程の処理が不十分で、濃い汚れが流れ込むと、活性炭が短期間で使えなくなることがあります。
活性炭だけに頼らず、前段の処理を安定させることが重要です。
処理水を再利用したり、特定の場所へ放流したりする場合には、消毒が必要になることがあります。
塩素系薬品、紫外線、オゾンなどが使用されます✨
塩素消毒では、薬品の注入量と接触時間を管理します。
注入量が少なすぎれば十分な効果を得られず、多すぎれば残留薬品が問題になる可能性があります。
紫外線消毒では、ランプの汚れや劣化によって効果が低下します。
定期的に清掃し、照射強度を確認します。
水が濁っていると、紫外線が十分に届かない場合があります。
消毒工程だけでなく、前処理によって処理水を澄んだ状態へ整えることが重要です。
排水処理設備では、ポンプやブロワが連続的に使用されます。
ポンプは水や汚泥を送り、ブロワは曝気槽へ空気を供給します⚙️
これらが停止すると、排水処理全体が止まる可能性があります。
運転音、振動、温度、電流、圧力などを日常的に確認します。
異音や振動が大きくなった場合は、軸受の摩耗、詰まり、芯ずれなどが考えられます。
ポンプが空運転すると、シールや内部部品を傷める可能性があります。
液面計やフロートスイッチが正常に働いているかも確認します。
予備機を設置し、故障時に切り替えられるようにすることも重要です
近年の排水処理設備では、流量、pH、溶存酸素、液面などを自動で監視し、薬品ポンプやブロワを制御する仕組みが活用されています
異常が発生した際に、担当者のスマートフォンや管理室へ警報を送ることもできます
自動化によって、夜間や休日でも設備状態を把握しやすくなります。
ただし、センサーや制御装置が故障すれば、誤った薬品注入や設備停止につながる可能性があります。
自動だから安心と考えず、定期的な点検と手分析による確認を行います。
現場の目視、におい、音など、人が気づける変化も重要です。
自動制御と作業員の経験を組み合わせることで、安定した運転が可能になります。
排水処理業における処理工程と設備運転技術は、汚れた水を安全な状態へ整え、環境を守るための技術です。
スクリーン、調整槽、油水分離、pH調整、凝集沈殿、生物処理、膜処理、消毒などを、排水の性質に合わせて組み合わせます
各設備を設置するだけではなく、流量、水質、薬品量、酸素量、汚泥状態などを確認しながら運転条件を調整します。
排水は毎日同じ状態ではありません。
製造内容、洗浄作業、季節、設備トラブルなどによって変化します。
その変化を早期に捉え、処理設備を安定させ、基準に適合した水を継続的に送り出すこと。
それが、排水処理業における処理工程・設備運転技術の大きな役割なのです✨