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月別アーカイブ: 2025年10月

豊商事の雑学講座~水から資源へ~

こんにちは、更新担当の中西です!

 

さて今回の豊商事の雑学講座

~水から資源へ~

 

排水処理=コストセンター?
いいえ、2025年の常識はコストを価値に変える“資源化センター”。ここでは、工場・商業施設・自治体で始まっている最新トレンドを、分かりやすく解説します。


1|リユース(再利用)の波:水は“何度でも働く”♻️

  • グレーウォーター:トイレ洗浄・散水・冷却塔補給へ。膜分離(MBR/UF)+UVの組合せが定番。

  • 工業リユース:ボイラー給水や生産洗浄に**RO(逆浸透)で磨いて再注入。水道・井水コストを最大30–70%**圧縮するケースも

  • フードサービス:食器洗浄—下処理—油水分離—膜—熱回収→食洗の温水エネルギーまで再活用

リユースは「節水+熱+薬品」のトータル最適化。水だけ見ず、エネルギーと薬品も一緒に設計するのがコツ


2|“電気をつくる処理場”:エネルギー回収のリアル ⚡

  • 消化ガス発電:汚泥から出るメタンで発電→施設の電力を自給

  • ヒートポンプ:処理水の“低温の熱”を回収して、館内空調や温水に。

  • ブロワの省エネ可変速(VFD)+溶存酸素(DO)連動で曝気電力▲20–40%も現実的。

  • 微細気泡(ナノバブル):酸素移動効率UPで曝気量を削減、処理も安定。


3|データが現場を強くする:AI×IoTの使いどころ

  • ポンプの予知保全:電流・振動でベアリングの“悲鳴”を早期に発見。計画停止で止まらない施設へ。

  • 処理の自動チューニング:流入負荷や天候に応じて、曝気/撹拌/薬注を自動で最適化。

  • 異常検知:pH急変・電導度の跳ね上がり→ライン自動切替遮断弁で被害最小化。

  • ダッシュボード:BOD・SS・電力・薬剤・汚泥処理費を1枚で見える化。会議が秒で終わる(ほんと)️


4|“小さく始めて大きく効く”設備アップデート

  • スクリーン→微細化:前処理強化で後段の負担を軽く。

  • 凝集剤の見直し:原単位(g/m³)を記録し、最小薬注へ。

  • MBRの後段に活性炭:色・におい・微量有機物を磨いてリユース適性UP。

  • 油水分離の親水化部材:厨房・食品工場で油カット→臭気と詰まりが激減。

  • 雨天バイパスの賢い制御:豪雨で薄まった負荷を適正配分、タンク容量を“賢く”使う☔


5|産業別・“排水のクセ”早見表

  • 食品(乳・惣菜):油・タンパク・デンプン→DAF浮上+生物処理+脱窒

  • めっき・電子:重金属・シアン→中和・還元・沈殿(厳格な管理)

  • 製紙:繊維・着色→スクリーン+凝集+生物+活性炭

  • ホテル・商業:BOD中程度・変動大→MBR+UVで再利用が相性◎

  • クラフト飲料:糖・酵母→pH調整+凝集+好気、場合により嫌気

どの業種も**“前処理の丁寧さ”=全体最適の近道**です️


6|コンプライアンス&リスク:ルールは“守るために設計”する⚖️

  • 排水基準(pH、BOD/COD、SS、窒素・りん、油分、重金属など)

  • 下水道への受入基準(泡・臭気・有害物質)

  • 緊急時手順:流入停止→迂回→中和→記録→報告。訓練が命

  • 臭気・騒音対策負圧+活性炭サイレンサで近隣にやさしく。
    ルールは事後対応ではなく、設備と運用に最初から組み込むのが鉄則です✔️


7|現場を変える“人”の話:安全と教育、そして仕事のやりがい

  • 安全第一:酸欠・硫化水素・転落——ガス検知器・三点確保・二人作業が基本。

  • 教育:新任は微生物観察のミニ講座から。菌の表情が読めれば運転が上手くなる

  • やりがい:川のにごりが減った日、臭気が消えた日、電力量が下がった月。数字が“いいこと”に直結するのがこの仕事の醍醐味→


8|ミニケース:大型モールの「水の見える化」️

各階トイレ・フードコート・冷却塔からの排水を系統別メーターで分解。
アクション:夜間清掃の水量を高圧→中圧に変更、食器の予洗いをスプレー式へ、冷却塔は濃縮管理で排水回数を低減。
結果:給水▲18%、排水処理費▲22%、CO₂▲12%。水道局から表彰&テナントの満足度もUP


9|“今日からできる”排水スマート化チェックリスト ✅

  • 流入量・電力・薬品を日次で1枚に集約

  • DOとpHをオンライン化(アラーム設定)

  • **前処理(スクリーン・油水分離)**の清掃を標準化

  • 雨天時モードを運転規程に追加

  • 臭気は定点で数値管理(においセンサー or アンモニア計)

  • 安全KYミーティングを毎朝5分


10|よくある誤解を、やさしくほどく

  • 「排水処理=穴埋めコスト」再利用・エネ回収利益を生む部署になれる。

  • 「設備を大きくすればOK」運用(バルブ1/4回す)で化ける。まずは運転最適化から。

  • 「臭いは仕方ない」 → 技術は進化中。密閉+負圧+吸着で“無臭に近づく”は可能。


11|まとめ:水の未来を“つくる側”へ ✨

排水処理は、見えないインフラから見せたい価値創造へ。
リユース、エネルギー回収、データ運用、安全文化——その全部が企業価値地域の誇りにつながります。
あなたの職場や街でも、小さな一手から始めてみませんか?わたしたちが、水の未来をつくる側です

 

豊商事の雑学講座~「見えないところで、街を洗っている。」~

こんにちは、更新担当の中西です!

 

さて今回の豊商事の雑学講座

~「見えないところで、街を洗っている。」~

 

きょうあなたが飲んだコーヒー☕、洗ったお皿️、流したお風呂。その“後始末”を、誰がどうやってやっているか知っていますか?
答えは——排水処理のプロたち。私たちは“流した瞬間に忘れる水”を、きれいな水と資源に戻す仕事をしています。


1|排水処理って何をしているの?やさしく一筆書き ️

  • 集める:家庭や工場から流れた水は、下水管や事業所の配管を通って処理施設へ。

  • すくう:最初にスクリーンで大きなゴミをキャッチ️

  • 沈める一次沈殿で砂・泥・重い汚れを沈める⤵️

  • 育てる:主役は微生物!エアレーションタンクで酸素を送り、微生物が有機物を“むしゃむしゃ”食べる️(活性汚泥法)

  • わける二次沈殿で“処理済みの水”と“微生物の塊”を分離。

  • 磨く:必要に応じて膜(MBR)や活性炭紫外線で仕上げ✨

  • 戻す/活かす:川や海へ戻したり、再利用水としてトイレ洗浄・散水・工業用水に♻️

ポイント:排水処理は化学+生物+機械+ITの総合格闘技。理科の授業が大集合です⚙️


2|“水を食べる”生き物たち:微生物の小さな大活躍

顕微鏡を覗くと、ゾウリムシミジンコの仲間、糸のような糸状菌など、ミクロの牧場が見えてきます。

  • ふつうの時:短い棒状の細菌(バチルス)が有機物を分解。

  • 脂っこい時:油を好む菌が増える。

  • 寒い時:代謝が落ちるので曝気や滞留時間を調整⛄

  • 臭い時:酸素不足のサイン。曝気量や撹拌を見直し。
    微生物の“顔つき”を見れば現場の健康状態がわかるんです。ちょっと可愛いでしょ?


3|“にごり”と“匂い”を数字で語る:モニタリングって大事

  • BOD/COD(汚れの量)

  • SS(浮いてる固形物)

  • pH・温度・溶存酸素(DO)

  • 窒素・りん(栄養塩)

  • においセンサー・ORP(酸化還元)
    これらをオンライン計測×クラウドで見える化。異常の前兆(エアレーションの泡の質、返送汚泥の色)もデータ+目視でキャッチします


4|“汚泥”は宝の山:燃やすだけじゃもったいない

処理の副産物である汚泥。実は——

  • メタン発酵発電

  • 堆肥化して緑地へ

  • リン回収で肥料原料に

  • 乾燥固形燃料として熱利用
    “汚れ”がエネルギーと資源に変わる。これがサーキュラーエコノミーの最前線です♻️


5|排水処理の“推しポイント”5連発

  1. 社会インフラの主役:止まると街が止まる。責任重大だけど、やりがいMAX。

  2. 技術の宝庫:膜、バイオ、IoT、AI、ポンプ、バルブ…技術好きには天国

  3. ニオイ問題を解決:活性炭・オゾン・バイオ蓋…“においを消す”のもプロの技。

  4. 災害に強くなる:非常用電源や雨天時運転で、街を守る盾️

  5. 地球にやさしい:脱炭素と水資源保全に直結。SDGsのど真ん中


6|家庭と企業が“ちょっと”変えるだけで世界が変わる

  • 油は流さず拭き取り→微生物の負担が激減。

  • 洗剤は適量→泡が少ないほど処理が安定

  • 工場は予備処理を強化(pH調整・油水分離)→本処理がラクに。

  • 雨水貯留・透水舗装→雨の日の“ドカ流れ”を抑制☔
    みんなの一手が、処理コストの低減水の質の安定に直結します


7|現場の“リアル”Q&A ❓

Q:臭くないの?
A:においは管理指標。発生=要改善のサイン。今は消臭・密閉・負圧換気でかなり快適です

Q:キツい仕事?
A:外仕事・夜間対応もあるけど、自動化・遠隔監視で働き方は進化中。安全教育も徹底

Q:キャリアは?
A:オペレーター→保全→設計→コンサル…専門性×社会性でキャリアは多彩


8|ミニケース:クラフトビール工房の排水を救え

糖とタンパクでBODが高い小規模ブルワリー。泡だらけで下水基準に苦戦…
対策:pH調整+凝集沈殿の小型装置→生物処理へ。さらにCIP洗浄を時間分散
結果:BOD▲85%、泡トラブルゼロ、再利用水で床清掃もOKに。
小さな工房でも、設計×運用でちゃんと良くなるのが排水処理の面白さ


9|まとめ:水は“流して終わり”じゃない

排水処理は、見えないところで街を洗う仕事。微生物という小さな仲間と、機械・データ・人の知恵で、汚れを価値に変えています。
今度どこかで“きれいな川”を見かけたら、その背景にいる無数のプロたちに思いを馳せてみてください。世界が少し優しく見えますよ