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こんにちは、更新担当の中西です!
さて今回の豊商事の雑学講座
~メンテナンス~
ということで、浄化槽の経年劣化の原因・劣化症状・メンテナンスの時期・修繕や更新の判断基準を、プロの視点で深く解説していきます!
長く安全に使うための「見えない劣化」との付き合い方
家庭や事業所で使用されている合併処理浄化槽。
目に見えない地中に埋め込まれた装置でありながら、私たちの生活排水をきれいに浄化し、環境と衛生を守るライフラインの一つです。
しかし、そんな浄化槽も“永久に使える設備”ではありません。
経年による部品の劣化、構造体の老朽化、処理能力の低下は、目に見えないところで着実に進行しています。
部材 | 材質 | 備考 |
---|---|---|
本体槽 | FRP、RC、PE、PVCなど | 地中埋設部(耐震・耐腐食性が求められる) |
ブロワー・ポンプ | 機械装置 | モーター・圧縮機構あり |
配管類・継手 | 塩ビ管・ゴム・金属 | 地上部および槽内部接続部 |
材質 | 一般的耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|
FRP(繊維強化プラスチック) | 約20〜25年 | 軽量で腐食に強いが紫外線や衝撃に弱い |
RC(鉄筋コンクリート) | 約30〜40年 | 重量構造。大型施設に多い |
PE・PVC製 | 約15〜20年 | 小型家庭用に多いが熱や経年により劣化あり |
📌 構造物は30年ほど使えるケースもありますが、ブロワーなどの機械部品は7〜10年で交換時期を迎えることが多いです。
年月の経過による材質の変質・摩耗
微生物の変化・スカムの蓄積
ブロワー・ポンプの故障や圧力不良
塩ビ管やゴムパッキンの劣化・亀裂・破損
地盤沈下・凍結・地震による構造変位
症状 | 原因例 | 対応方法 |
---|---|---|
臭いが強い | ブロワー停止、スカム過多、通気不足 | ブロワー交換・清掃・通気確認 |
異常音・振動 | モーター軸の摩耗、内部接触 | モーター修理・交換 |
排水の濁り | 処理不良・ばっ気不足 | 点検・薬剤投入・微生物バランス調整 |
フタ周りの陥没・水たまり | 漏水・地盤沈下 | 補修・埋め戻し再施工 |
電気代が急に高い | ブロワーの能力低下 | 能力診断・省エネ型への交換検討 |
項目 | 頻度 | 実施者 |
---|---|---|
清掃(汚泥抜き取り) | 年1回以上 | 清掃業者(市町村許可) |
保守点検(機能確認) | 年3〜4回 | 点検業者(登録業者) |
法定検査(11条検査) | 年1回 | 都道府県指定検査機関 |
ブロワー:運転音・振動・吐出量のチェック(毎月)
フタ:開閉状態、ガス漏れの臭気確認
敷地まわり:地盤沈下・凍結の痕跡をチェック
配管:目視できる範囲でヒビ割れ・接続不良
📌 定期点検での小さなサインを見逃さないことが、大きな修繕を防ぐコツです。
機械部品の故障(音・動作・異常停止)
排水状態の悪化(濁り・泡・臭気)
本体からの漏水・構造亀裂
点検業者からの修繕勧告
内容 | 概要 | 費用目安(参考) |
---|---|---|
ブロワー交換 | 吐出量低下や異音時 | 3〜7万円前後 |
ポンプ修理 | モーター部の故障 | 5〜10万円 |
配管・バルブ交換 | 漏れ・接続不良 | 2〜5万円 |
蓋の補修・交換 | 経年劣化・割れ | 1〜3万円 |
全体更新(入れ替え) | 耐用年数超過 | 70〜150万円(人槽・工事内容による) |
以下の条件に該当する場合は、「修繕」ではなく「更新・入れ替え」を検討すべきです。
設置から20年以上が経過
ブロワー・ポンプ等の機器が頻繁に故障
法定検査で機能不良の指摘が複数回
排水基準を継続的に満たせない
使用人数が増えて人槽が不足している
📌 補助金制度や更新支援がある自治体もあるため、専門業者や自治体窓口と相談するのがベストです。
点検と修繕で守る、家族と環境の安心
浄化槽は日々の生活の中であまり意識されることのない存在ですが、
正しく点検し、適切に修繕・更新していくことが、安全な暮らしと健全な水環境を守る第一歩です。
チェック項目 | YES/NO |
---|---|
設置から15年以上経過している | |
ブロワーから異音・異常振動がある | |
臭気や水の濁りが気になることがある | |
定期点検を3か月以上受けていない | |
清掃(汚泥抜き)を1年以上していない | |
点検業者から修繕を勧められたことがある |
✅ 2つ以上該当したら、専門業者に相談して点検・修繕計画を立てましょう。
こんにちは、更新担当の中西です!
さて今回の豊商事の雑学講座
~確認事項~
ということで、浄化槽点検を行う前に必要な「事前確認事項」を5つの視点から詳しく解説し、点検の質を高め、維持管理をスムーズに進めるための実践的なガイドをお届けします。
衛生・環境・法律を守るための“点検前の心得”
浄化槽は、生活排水を微生物の力で処理し、自然に返す装置。
その健全な稼働は、地域の環境保全・公衆衛生・水質保護に直結する極めて重要なインフラです。
しかし、点検前の準備や確認不足によって、正しい機能確認ができなかったり、違反・事故につながる事例も少なくありません。
種類 | 特徴 |
---|---|
単独処理浄化槽 | トイレの排水のみ処理(※現在は設置不可) |
合併処理浄化槽 | トイレ+生活排水全般を処理(一般家庭の主流) |
📌 合併処理浄化槽は設置義務があり、年1回の法定検査と定期点検・清掃が義務付けられています。
設置場所の図面・台帳(点検口の位置、フタの数)
処理方式(接触ばっ気、嫌気ろ床、回分式など)
人槽(何人用か)と使用開始年月
📌 古い機種では図面がないケースもあるため、現地確認が必要
利用人数の変化(転居・増改築など)
浄化槽に異常・異臭・音・詰まりなどの自覚症状
前回の点検・清掃履歴、法定検査の実施状況
点検口の周囲に障害物がないか確認
フタの開閉が可能か?(腐食・重量に注意)
ガス抜きが必要な場合は一酸化炭素・硫化水素の検知器を準備
エアポンプの吐出圧測定器
残留塩素測定キット(放流水確認用)
バキューム・ブロワー、補修部材(ホース、フィルター等)
📌 点検当日に「工具がない」「装置が開かない」という事態を防ぐには、現場調査と持ち物チェックリストが重要です。
雨天・大雨の直後は点検を避ける(流入水量が増え、誤検知の恐れ)
朝一番や日没前後の点検は視認性・安全性に課題
利用者または管理者の立ち会いが可能か
鍵の管理(施錠されている場合)
📌 人が不在でフタが開けられない、敷地に入れないといった現地対応トラブルを防ぎましょう。
清掃:年1回(市町村の許可業者が実施)
点検:年3〜4回(保守点検業者が実施)
法定検査(11条検査):年1回(指定検査機関)
点検報告書の様式確認(自治体によって異なる)
前回の点検結果や是正指示事項の有無
環境省・県条例等による特例基準や報告義務の確認
📌 記録の不備は、行政からの改善命令や罰則の対象となる場合があります。
浄化槽点検は、単なるメンテナンスではなく、
人々の生活環境を静かに支える“社会インフラ点検”です。
その品質は、点検当日の技術だけでなく、事前の確認と準備の精度に大きく左右されます。
カテゴリ | チェック項目 |
---|---|
設置情報 | 図面・人槽・型式・処理方式 |
使用状況 | 利用人数・異常有無・前回履歴 |
現地確認 | フタの位置・周辺状況・危険箇所 |
機器準備 | 測定器・交換部品・安全装備 |
日時調整 | 天候・立ち会い有無・時間帯 |
法令確認 | 点検義務・報告書様式・記録保存 |