
こんにちは、更新担当の中西です!
さて今回の豊商事の雑学講座
~既設設備のアップデート術~
新設だけが正解ではありません。既設のまま運転・制御・薬剤・汚泥・再利用を磨けば、放流水質を守りながらコストを下げることは十分可能です。本稿は“費用対効果の高い順”に改善アイデアを整理しました。
流量×電力×薬注×ケーキ量を日次で一枚に。
時系列のズレ(薬注は増えたのにSSは変わらない?夜だけ電力が高い?)を発見。
原単位で見る:kWh/㎥、薬剤g/㎥、汚泥㎏DS/㎥、苦情/1000㎥。
DO自動制御:目標1.5–2.0 mg/L。振幅を小さく(PID再調整)。
VFD化・段数見直し:低負荷帯で回し過ぎない。
散気目詰まり点検→スポット更新(一部更新でも効果大)。
無酸素/嫌気槽へ空気漏れが無いか仕切り・防気板を確認。
原水電気伝導度・アルカリ度を測り、pH調整を最小化。
補助凝集剤(高分子)は原液濃度・熟成・撹拌Gを見直し。
ジャーテストを週1に固定し、最小薬量を保つ(負荷が戻っても“盛りっぱなし”にしない)。
ポリマーの“添加点”だけ変更して含水が2–3%下がることも。
濃縮→脱水の間に静置タンクを挟み、濃度を1–2%上げてから脱水。
ケーキコンベアの滴下防止で、場内清掃・臭気も同時に改善。
液位・DO・ORPセンサを交換/校正。古いセンサは制御の敵。
盤内VFD・タイマ見直し:夜間・休日に省エネモード。
油水分離のスクレーパ・配管口径を現場実態に合わせるだけで前処理効率UP。
ろ過(砂/カートリッジ)+活性炭で洗浄・場内散水の再利用。
MBR/UFのサイドストリームを一部導入し、高SS日にバイパス処理。
逆洗水・凝集洗浄水の調整槽戻しを量とタイミングで最適化。
臭源マップを作成(脱水室・ピット・油分溜まり)。
槽蓋+小風量ダクト→薬液スクラバ or バイオフィルタ。
活性炭の交換時期を圧損と臭気計の簡易値で管理。
アラート閾値(pH・DO・流量)を通知アプリで共有。
点検はQR付きSOPで“誰でも同じ手順”。
**異常時の時系列(フローチャート)**を盤扉裏に貼るだけで復旧が速くなる。
運転設定の最適化(ゼロ投資):省エネ5–15%
散気/センサ更新のミニCapex:省エネ10–20%+水質安定
VFD+自動制御:省エネ10–30%
部分高度処理/再利用:上水費・排水量の削減、ESG効果
※効果は原水性状・設備構成で変動します。実測ベースで評価しましょう。
DO上振れ(夜間)は無い?
無酸素槽にエア漏れゼロ?仕切り健全?
ジャーテストの週次運用を継続?
センサ校正日・交換履歴を台帳化?
ポリマー“添加点”の最適化テスト済?
ケーキ含水率・薬注比・回収率を同一シートで見える化?
臭源マップと対策(蓋/小風量/吸着)を更新?
省エネモード(休日/夜間)の回し方を標準化?
こんにちは、更新担当の中西です!
さて今回の豊商事の雑学講座
~止めない・臭わない・外さない~
排水処理は装置ではなく運転管理で仕上がりが決まります。この記事では、日々の点検から負荷変動への対処、臭気・汚泥管理、KPIの見える化まで、明日から使える実務ノウハウをまとめました。
受入(スクリーン/グリット)→調整槽(均等化)→一次処理(凝集沈殿/浮上)→二次処理(好気/無酸素/嫌気)→沈殿→高度処理(ろ過/活性炭/消毒)→放流・再利用 → 汚泥濃縮・脱水
調整槽は“ショック負荷のエアバッグ”。pH/温度/流量を均すと下流が安定します。
一次処理でSS・油分を落とし、二次処理ではBOD/COD・窒素を追い込みます。
毎日(30–60分)
調整槽:pH・温度・ORP・流入/流出量
反応槽:DO(1.5–2.5 mg/L目安)、泡の色/量
沈殿槽:汚泥界面(汚泥ブランケット)
脱水機:含水率・薬注量・ケーキ性状
気になる槽は写真記録(見た目の変化が一番早い)
週次
MLSS/MLVSS、SV30・SVI(沈降性)
汚泥齢SRT、F/M、返送率(RAS)、余剰汚泥抜き(WAS)
ポリマー・凝集剤のジャーテスト
標準指標の目安(施設により最適値は異なります)
BOD:N:P ≒ 100:5:1(生物処理の栄養バランス)
SRT:窒素除去狙いで10–20日(水温により調整)
DO:好気1.5–2.0、無酸素0.2以下、嫌気0 mg/L
ORP:無酸素**−50〜−200 mV**目安
原水の日内変動を見て、アルカリ度・pH・温度を先に整える。
急速撹拌→緩速撹拌→静置の時間設計を変えて最小薬量で最大SS除去を探る。
ポリマーは原液濃度・熟成時間で性能が激変(例:0.1–0.2%・30分熟成の基準化)。
泡:茶色で細かい=安定/白い・軽い=負荷不足や界面活性剤/濃茶で粘る=過負荷や老化。
臭い:土っぽい=好気/硫黄臭=嫌気化・DO不足・滞留。
沈降:SVI 80–150で安定域、バルキング兆候(SVI>180)は早めに対処。
よくある症状→原因→対策
NH₄-N高い → DO不足/硝化菌不足 → 送風増・SRT延長・アルカリ補給
硝酸が残る → 有機炭素不足/無酸素不足 → 反応時間延長・内部循環見直し・炭素源微量添加
汚泥浮上 → 反硝化ガス/油分 → 返送強化・表面引抜き・一次処理強化
調整槽滞留×流入分割でピークをカット。
循環ライン(二次→一次/調整)を臨時活用。
pH・温度急変時は段階復帰(急な薬注は禁物)。
油分・SS急増は浮上・スクリーン清掃を先行し、凝集設定はジャーテストで即日更新。
H₂S・VOC対策:槽蓋+局所排気→洗浄塔/バイオフィルタ。
酸欠・硫化水素:立入許可・換気・ガス検知器、酸欠/硫化水素作業の教育。
サンプル採取:**時系列/合成(コンポジット)**が基本。採水・保存・ラベルの三点固定でトラブル回避。
濃縮→脱水の前で薬注点/混合強度を最適化(ケーキ含水▲2–3%で運搬費が大幅減)。
脱水機は固形物回収率と**薬注比(㎏-薬/㎏-DS)**で評価。
装置別の勘所:
スクリュープレス:低騒音・省エネ、前処理スクリーンが命。
ベルトプレス:濃縮部の負荷とテンション管理。
デカンタ:回転数/差速/深さを1項目ずつ動かして最適点探し。
送風機にインバータ(VFD)+DO自動制御。
散気は微細化+均一化、目詰まりは逆洗/定期薬洗で回復。
夜間・低負荷帯のDO上振れを抑え、過剰曝気を防ぐ。
連日:流入/放流水質(pH, SS, COD/BOD, NH₄-N, TN, TP), DO, ORP
週次:MLSS, SVI, SRT, F/M, 汚泥発生量, ケーキ含水率, 薬注比, 電力原単位(kWh/㎥)
月次:基準適合率、再処理件数、臭気苦情件数、事故・未然ヒヤリ数