
こんにちは、更新担当の中西です!
さて今回の豊商事の雑学講座
~変遷~
目次
かつて日本では、家庭や工場から出る排水は川や海にそのまま流されるのが一般的でした。
特に昭和中期までは、 下水道の普及率が低く、生活排水は垂れ流し状態。これにより、河川や湖沼の汚染が深刻化し、水質悪化や悪臭、伝染病の原因にもなりました。
排水処理業という産業は、この「環境悪化」と「人々の衛生問題」に対応する必要性から生まれてきたのです。
1950年代後半〜1970年代、日本は高度経済成長期を迎えました。
工場排水や生活排水の増加により、 水俣病やイタイイタイ病などの公害問題 が社会的に大きな注目を集めました。
この時期、排水処理業は「汚水をただ流さないための施設」から「環境保全のための社会インフラ」へと役割を拡大しました。
下水処理場の建設ラッシュ
工場ごとの排水基準の制定
公害防止管理者制度の導入
これにより、排水処理は「法律に基づいた義務」として定着していきました。
1980年代以降、排水処理技術は大きく進化します。
従来の「沈殿・ろ過・生物処理」に加え、次のような技術が導入されました。
活性汚泥法の改良:窒素やリンを除去する高度処理
膜分離活性汚泥法(MBR):膜を使い、より効率的に浄化
高度酸化処理(オゾン、紫外線など):化学物質や色を分解
産業排水専用処理:製造業ごとの特性に応じた処理システム
この頃から「きれいにして川へ返す」だけでなく、 再利用・再資源化 の視点も出てきました。
1990年代〜2000年代は、「循環型社会形成推進基本法」の制定やSDGsの概念普及により、排水処理業はさらに役割を拡大しました。
再生水の活用(工業用水・農業用水・トイレ洗浄など)
下水汚泥からバイオガスや肥料を生成
海外では淡水不足に対応するための「下水再生水の飲料化」も研究
排水処理は「廃棄物処理」から「資源循環ビジネス」へとシフトし始めたのです。
近年では、IoTやAIを活用した排水処理システムが登場しています。
センサーによる水質モニタリングでリアルタイム監視
AI解析による最適な薬品投入やエネルギー使用の削減
遠隔監視・自動制御による人員負担の軽減
これにより、省エネ・省人化・効率化が進み、より持続可能な運用が可能となっています。
これからの排水処理業は、以下の方向に進化していくと考えられます。
カーボンニュートラル対応:処理工程のCO₂削減、エネルギー回収
国際展開:水問題を抱える新興国での需要拡大
スマートシティ連動:都市インフラとしての一体化管理
災害対応力の強化:豪雨・地震など非常時に機能する排水処理設備
単なる「汚水をきれいにする産業」ではなく、 環境保護・資源循環・防災インフラ としての存在感を強めていくでしょう。
排水処理業は、
自然依存の時代
公害対策の時代
技術革新と高度処理の時代
循環型社会の時代
デジタル化・持続可能性の時代
と変遷を遂げてきました。
その歩みは、人々の生活の質を守り、環境を未来へつなぐ重要な役割を担っています。
これからも排水処理業は、社会とともに進化し続ける産業であることは間違いありません🌍💧✨