
こんにちは、更新担当の中西です!
さて今回の豊商事の雑学講座
~止めない・臭わない・外さない~
排水処理は装置ではなく運転管理で仕上がりが決まります。この記事では、日々の点検から負荷変動への対処、臭気・汚泥管理、KPIの見える化まで、明日から使える実務ノウハウをまとめました。
受入(スクリーン/グリット)→調整槽(均等化)→一次処理(凝集沈殿/浮上)→二次処理(好気/無酸素/嫌気)→沈殿→高度処理(ろ過/活性炭/消毒)→放流・再利用 → 汚泥濃縮・脱水
調整槽は“ショック負荷のエアバッグ”。pH/温度/流量を均すと下流が安定します。
一次処理でSS・油分を落とし、二次処理ではBOD/COD・窒素を追い込みます。
毎日(30–60分)
調整槽:pH・温度・ORP・流入/流出量
反応槽:DO(1.5–2.5 mg/L目安)、泡の色/量
沈殿槽:汚泥界面(汚泥ブランケット)
脱水機:含水率・薬注量・ケーキ性状
気になる槽は写真記録(見た目の変化が一番早い)
週次
MLSS/MLVSS、SV30・SVI(沈降性)
汚泥齢SRT、F/M、返送率(RAS)、余剰汚泥抜き(WAS)
ポリマー・凝集剤のジャーテスト
標準指標の目安(施設により最適値は異なります)
BOD:N:P ≒ 100:5:1(生物処理の栄養バランス)
SRT:窒素除去狙いで10–20日(水温により調整)
DO:好気1.5–2.0、無酸素0.2以下、嫌気0 mg/L
ORP:無酸素**−50〜−200 mV**目安
原水の日内変動を見て、アルカリ度・pH・温度を先に整える。
急速撹拌→緩速撹拌→静置の時間設計を変えて最小薬量で最大SS除去を探る。
ポリマーは原液濃度・熟成時間で性能が激変(例:0.1–0.2%・30分熟成の基準化)。
泡:茶色で細かい=安定/白い・軽い=負荷不足や界面活性剤/濃茶で粘る=過負荷や老化。
臭い:土っぽい=好気/硫黄臭=嫌気化・DO不足・滞留。
沈降:SVI 80–150で安定域、バルキング兆候(SVI>180)は早めに対処。
よくある症状→原因→対策
NH₄-N高い → DO不足/硝化菌不足 → 送風増・SRT延長・アルカリ補給
硝酸が残る → 有機炭素不足/無酸素不足 → 反応時間延長・内部循環見直し・炭素源微量添加
汚泥浮上 → 反硝化ガス/油分 → 返送強化・表面引抜き・一次処理強化
調整槽滞留×流入分割でピークをカット。
循環ライン(二次→一次/調整)を臨時活用。
pH・温度急変時は段階復帰(急な薬注は禁物)。
油分・SS急増は浮上・スクリーン清掃を先行し、凝集設定はジャーテストで即日更新。
H₂S・VOC対策:槽蓋+局所排気→洗浄塔/バイオフィルタ。
酸欠・硫化水素:立入許可・換気・ガス検知器、酸欠/硫化水素作業の教育。
サンプル採取:**時系列/合成(コンポジット)**が基本。採水・保存・ラベルの三点固定でトラブル回避。
濃縮→脱水の前で薬注点/混合強度を最適化(ケーキ含水▲2–3%で運搬費が大幅減)。
脱水機は固形物回収率と**薬注比(㎏-薬/㎏-DS)**で評価。
装置別の勘所:
スクリュープレス:低騒音・省エネ、前処理スクリーンが命。
ベルトプレス:濃縮部の負荷とテンション管理。
デカンタ:回転数/差速/深さを1項目ずつ動かして最適点探し。
送風機にインバータ(VFD)+DO自動制御。
散気は微細化+均一化、目詰まりは逆洗/定期薬洗で回復。
夜間・低負荷帯のDO上振れを抑え、過剰曝気を防ぐ。
連日:流入/放流水質(pH, SS, COD/BOD, NH₄-N, TN, TP), DO, ORP
週次:MLSS, SVI, SRT, F/M, 汚泥発生量, ケーキ含水率, 薬注比, 電力原単位(kWh/㎥)
月次:基準適合率、再処理件数、臭気苦情件数、事故・未然ヒヤリ数