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日別アーカイブ: 2025年8月25日

豊商事の雑学講座~既設設備のアップデート術~

こんにちは、更新担当の中西です!

 

さて今回の豊商事の雑学講座

~既設設備のアップデート術~

 

新設だけが正解ではありません。既設のまま運転・制御・薬剤・汚泥・再利用を磨けば、放流水質を守りながらコストを下げることは十分可能です。本稿は“費用対効果の高い順”に改善アイデアを整理しました。


1. はじめにやるのは「見える化」だけ

  • 流量×電力×薬注×ケーキ量日次で一枚に。

  • 時系列のズレ(薬注は増えたのにSSは変わらない?夜だけ電力が高い?)を発見。

  • 原単位で見る:kWh/㎥、薬剤g/㎥、汚泥㎏DS/㎥、苦情/1000㎥。


2. 空気の無駄を断つ(最優先)️⚡

  • DO自動制御:目標1.5–2.0 mg/L。振幅を小さく(PID再調整)。

  • VFD化・段数見直し:低負荷帯で回し過ぎない。

  • 散気目詰まり点検→スポット更新(一部更新でも効果大)。

  • 無酸素/嫌気槽へ空気漏れが無いか仕切り・防気板を確認。


3. 凝集・薬剤の“引き算”

  • 原水電気伝導度・アルカリ度を測り、pH調整を最小化

  • 補助凝集剤(高分子)は原液濃度・熟成・撹拌Gを見直し。

  • ジャーテストを週1に固定し、最小薬量を保つ(負荷が戻っても“盛りっぱなし”にしない)。


4. 汚泥ライン改善でトラック台数を減らす

  • ポリマーの“添加点”だけ変更して含水が2–3%下がることも。

  • 濃縮→脱水の間に静置タンクを挟み、濃度を1–2%上げてから脱水。

  • ケーキコンベアの滴下防止で、場内清掃・臭気も同時に改善。


5. 設備の“ミニ更新”で効かせる️

  • 液位・DO・ORPセンサ交換/校正。古いセンサは制御の敵

  • 盤内VFD・タイマ見直し:夜間・休日に省エネモード

  • 油水分離スクレーパ・配管口径を現場実態に合わせるだけで前処理効率UP。


6. 再利用のはじめかた(小さく試す)♻️

  • ろ過(砂/カートリッジ)+活性炭で洗浄・場内散水の再利用。

  • MBR/UFのサイドストリームを一部導入し、高SS日にバイパス処理

  • 逆洗水・凝集洗浄水調整槽戻し量とタイミングで最適化。


7. 臭気の“点で取る”

  • 臭源マップを作成(脱水室・ピット・油分溜まり)。

  • 槽蓋+小風量ダクト薬液スクラバ or バイオフィルタ

  • 活性炭の交換時期圧損臭気計の簡易値で管理。


8. デジタルで「人の負担」を下げる

  • アラート閾値(pH・DO・流量)を通知アプリで共有。

  • 点検はQR付きSOPで“誰でも同じ手順”。

  • **異常時の時系列(フローチャート)**を盤扉裏に貼るだけで復旧が速くなる。


9. 失敗しない投資順序(費用対効果の目安)

  1. 運転設定の最適化(ゼロ投資):省エネ5–15%

  2. 散気/センサ更新のミニCapex:省エネ10–20%+水質安定

  3. VFD+自動制御:省エネ10–30%

  4. 部分高度処理/再利用:上水費・排水量の削減、ESG効果
    ※効果は原水性状・設備構成で変動します。実測ベースで評価しましょう。


10. チェックリスト ✅

  • DO上振れ(夜間)は無い?

  • 無酸素槽にエア漏れゼロ?仕切り健全?

  • ジャーテストの週次運用を継続?

  • センサ校正日・交換履歴を台帳化?

  • ポリマー“添加点”の最適化テスト済?

  • ケーキ含水率・薬注比・回収率を同一シートで見える化?

  • 臭源マップと対策(蓋/小風量/吸着)を更新?

  • 省エネモード(休日/夜間)の回し方を標準化?