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こんにちは、更新担当の中西です!
さて今回の豊商事の雑学講座
~各国の規格~
ということで、日本、米国、EUでは、それぞれの社会的背景や環境政策に基づいて排水処理に関する規格が策定されており、これらの違いを理解することは、国際的な事業展開や技術導入の際に重要です。
排水処理業は、環境保全と公共の健康を守るために不可欠な業種であり、各国で厳格な規格や法令が定められています。
目次
日本では、水質汚濁防止法に基づき、全国一律の排水基準が定められています。この基準は、人の健康保護を目的とした28項目と生活環境保全を目的とした15項目から構成されており、カドミウムやシアンなどの有害物質の排出基準が明確に規定されています。また、地方自治体は、地域の実情に応じて、これらの基準よりも厳しい独自の排水基準を設定することが可能です。 環境省
日本産業規格(JIS)では、排水処理に関する試験方法や設備の設計・施工に関する技術基準が定められています。例えば、JIS K 0102では、工場排水の試験方法が詳細に規定されており、排水の質を正確に評価するための基準となっています。
米国では、クリーンウォーター法(Clean Water Act)に基づき、EPA(環境保護庁)が排水処理に関する規制を行っています。特に、NPDES(National Pollutant Discharge Elimination System)制度により、排水の排出には許可が必要とされ、排出基準や監視・報告義務が課されています。
EPAは、産業別に排水ガイドラインを策定しており、これらは技術ベースの規制であり、特定の産業カテゴリにおける最良の利用可能技術(BAT)に基づいて排出基準が設定されています。
EUでは、都市排水処理指令(UWWTD)により、都市部の排水の収集と処理に関する基準が定められています。この指令は、人口1,000人以上の地域における排水の適切な収集と処理を義務付けており、さらに、2025年1月からは、窒素やリンの除去、微小汚染物質の除去(第四次処理)など、より厳格な基準が導入されています。
EUでは、EN 12255やEN 12566などの欧州規格(EN規格)により、排水処理施設の設計、施工、運用に関する技術標準が定められています。これらの規格は、施設の規模や処理能力に応じた詳細な要件を規定しており、加盟国での統一的な適用が求められています。
項目 | 日本 | 米国 | EU |
---|---|---|---|
規制の枠組み | 全国一律の排水基準+地方自治体の上乗せ規制 | クリーンウォーター法+NPDES許可制度 | 都市排水処理指令+EN規格 |
排水基準の設定方法 | 健康保護・生活環境保全を目的とした項目別基準 | 産業別の技術ベースの排出基準 | 処理段階(一次~第四次)に応じた基準 |
技術標準の策定主体 | 日本産業規格(JIS) | EPA(環境保護庁) | CEN(欧州標準化委員会) |
微小汚染物質への対応 | 明確な規定は少ない | 一部の産業で対応 | 第四次処理での除去を義務化 |
費用負担の原則 | 排出者負担(明確な規定は少ない) | 排出者負担 | 汚染者負担原則に基づき、特定産業に費用負担を義務付け |
日本、米国、EUの排水処理規格は、それぞれの社会的背景や環境政策に基づいて策定されており、規制の枠組みや技術標準、費用負担の原則などに違いがあります。これらの違いを理解し、適切に対応することは、国際的な事業展開や技術導入の際に重要です。排水処理業に関する最新情報や技術解説については、建築技術ブログもぜひご参照ください。